無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる
すうっと、物音を立てずにその扉は押された。
来た、みたい。
思わず、こぶしをぎゅっと強く握りしめた。
それから、静かにこちらの部屋へ足を踏み入れる人の姿が見えた。
その人と、バチッと目が合う。
「え?」
「は?」
お互いの姿を認識した私たちは、同時に声をあげた。
……え? あ、あれ?
もしかして、幻覚が見えているのかな……。
そんなことを思い、目を閉じたり、瞬きを数回したりしてみたけれど、そこにいる人物の姿に変わりはない。
ど、どうして、ここに。
戸惑いの気持ちを隠しきれない私。
目の前に立っている人物も同じなのか、怪訝そうな顔をして、私を見つめている。