無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる


突然のことで頭が追いつかず、何かを話そうと思っても話すことができない。


いっそのこと、「どうしてここにいるの?」と聞けたら楽なのだけれど、残念ながら私にそんな勇気は持ち合わせていないみたいだった。



「……なんでここに、朝倉がいんの」



じっと私を見据えながら、独り言みたいにそう口にされた。


なんでって……、わ、私も聞きたいよ。


震える手をもう一度強く握りながら、私は一生懸命口を開く。



「わ、私……。
今さっき、この家に引っ越して来たんです……。
これからしばらく、ここに住む予定で……」



手だけじゃなくて、声も震えてしまっていた。

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