苦手な上司にプロポーズすることになりました
「私が社長の姪なことは伏せられています。
 ああ見えて、叔父はちゃんとタイミングを読む人なので。

 程よいときに、すべてを明らかにすると思いますよ」

 あなたのキャリアに傷はつかないのでは?
と言ったが、

「周りの人間はどう思うかな?」
と由人は言う。

「俺がお前と結婚して、後から、お前が社長の姪だとわかったら。
 当然、地位が目当てだと思うだろう」

 いや、当然ってなんだ……。

「私と熱烈な恋に落ちたことにすればいいじゃないですか。
 あなたの力でこの腐れ切った会社を変えたらどうですか?」

 ……腐れ切ってはいない、と和市が青ざめながら言ってきそうなことを佑茉は言う。

「腐れ切っているというほどではない」
と由人も言った。

「入社してからずっと上手く行きすぎたから。
 生ぬるい環境から出て、自分の力を試してみたいだけなのかもしれないな」

「そんな血迷った若者みたいなことを言って」

「……俺はまだ若いからな」

 まあ、正直に言おう、と他に誰もいないエレベーターの中で由人は言う。
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