苦手な上司にプロポーズすることになりました
「将来的に重役になって、自分のイメージする通りに会社を変えられそうなのは魅力的だ。

 だが、お前にまったく興味がないのに結婚するのはどうだろうな。

 お前に対しても不誠実じゃないか?

 ――実はさっきから、お前のいいところを密かに探してみているんだが」

 なにひとつ見つからない、と佑茉を上から下まで眺めながら由人は言った。

「それは私もですよ」

 負け惜しみではなく、佑茉もそう言う。

 イケメンで有能で出世頭かもしれないが。

 この人と結婚したら、荒んだ家庭になりそうな気がしていたからだ。

 ――そもそも、本人がおっしゃる通り、我々の間には愛がないしな。

 由人は高級感はあるがシンプルな腕時計を見、
「そろそろ昼だな。
 まあ、巻き込んで迷惑かけたようだから、おごってやろう」

 そう言ってきた。




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