苦手な上司にプロポーズすることになりました
「ぼんやりした人も落ち着くからいいなと思う。
 特にこの間の彼女は、一緒にいると違和感なく暮らせそうだ」

「……私とも違和感なく暮らしているようですが」

「まあ、それなりに。

 だが、何度も言ったじゃないか。
 お前は美しすぎて落ち着かないと」

「いや、それは部長の私に対する評価が意外に高すぎるだけですよ。

 別にそんな綺麗じゃないです。
 あ、もしや、ただ単に、私がお好みなんだとか?」
と笑って訊いて、

「それはない」
とバッサリ切り捨てられる。

 ……だから、ただの冗談ですよ、と思いながら、よく冷えている日本酒の小瓶を開けていると、由人が言った。

「ミステリアスな女が好きなのは、昔見た映画とかの影響かもな。
 お前のような知的な雰囲気の美女が活躍する。

 ……だが、お前はミステリアスとは程遠いな」

 別に部長に好かれなくともいいのだが、と思いながらも、佑茉は言ってみた。
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