苦手な上司にプロポーズすることになりました
 今、話しかけるなという風でもないので、今日は他に由人の会社の人間は店内にいないのだろう。

 遠慮なく話を進めさせてもらっていると、彼女の方が、
「あの、ご一緒にどうですか」
と訊いてきた。

 切れ長の知的な瞳で見つめられ、どきりとしてしまう。

「え?
 いいんですか?」
と新平は言ったが、由人の方は渋い顔をしていた。

 詳しい話を彼女に聞かれたくないからか。

 それとも、二人きりの時間を邪魔されたくないからか。

 優秀なヘッドハンターである自分にも彼の感情はいまいち読めないな、と新平は思っていた。

「私、こういう者です」
と彼女に名刺を渡すと、彼女も名刺を交換しようとしたが、それを由人が止める。

「いやいや、大丈夫ですよ。
 ナンパとかしませんから」
と新平は笑って言った。
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