苦手な上司にプロポーズすることになりました
 単に、ヘッドハンティングしてくる会社より良い条件を提示しよう、と思っているだけだろう。

 佑茉は真剣に新平の話に耳を傾け、頷いている。

 ……ほんとに、そうしてると、すごい優秀な社員に見えるな、と由人は佑茉を見て思った。

 まだ本格的に仕事を任せてはいない新人同然の奴なんだが。

 人は見た目に騙されるものだな。
 恐ろしい。

 ……っていうか、そこで騙されるヘッドハンター、どうなんだ、とちょっと不安になる。

 やがて、蕎麦がやってきた。

 佑茉と自分は天ザル。
 新平は鴨南蕎麦だった。

 三人で美味しく蕎麦を食べているうちに、佑茉が七味を蕎麦が赤くなるほどかけている新平を見ながら言った。

「この間、二秒後に来るせんべいって食べたんですよ」
「なにそれ」

「二秒後に、せんべいが走ってくるのかと思ったら、辛さが二秒後に来るんだったんですよ」

「なにそれっ」

 そこから、佑茉の話と新平の相槌がつづく。
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