苦手な上司にプロポーズすることになりました
 そんな高嶺に真摯に向き合い、由人は訴える。

「そしたら、もっと早くに真実に……

 自分の心の真実にたどり着けたのかなとは思います」

 声をかけるべきでした、と由人は繰り返す。

「時計を壊しても」

 何故、時計……と高嶺が呟く。

「腕を折っても」

 腕は折らないでください、と佑茉が青ざめる。

「どんな手段を使っても、きっかけを作り、話しかけるべきでした。
 この話が今後、どう転ぶのか、私にはわかりませんが」

 いや、押し切れよ、
とその場にいた全員が心の中で突っ込んだ。

 だが、由人は、ちらと佑茉を見る。

 わからないのは、『佑茉の気持ち』だ。
 無理強いするつもりはない、と思っていた。
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