苦手な上司にプロポーズすることになりました
 困った人だが、幼き折に、みんなで遊んでいたときは、こういうところが楽しくもあったのだ。

「爪を切るだけで、お前をとどめられるわけもないのに。

 すまん。
 血迷ってたな」

 恥ずかしそうに言う由人を見て、佑茉は赤くなる。

 やめてくださいっ。
 可愛らしいではないですか、部長っ!

 っていうか、血迷ってるのは、鈴木の方ですっ、
と何故か小指の爪の根元を押して、伸ばそうとしているらしい鈴木を見る。

「でも、そういえば、私も策を巡らせてたんですけど。
 結局、逆効果に終わった気がします」

 反省を込めて佑茉が言うと、高嶺は微笑み、

「策士策に溺れるってやつか。
 お前も可愛い策でも巡らせていたのか」
と言う。
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