苦手な上司にプロポーズすることになりました
 実質、婚約者なのに。
 まだ告白もまともにしていない男の気持ちで、緊張しながら、由人は誕生日前日の夜を迎えていた。

 せめて、誰よりも早くに、あいつの誕生を祝いたい。

 それにしても、この俺に、こんなにも心を動かされる女性が現れるなんて。
 ちょっと前までは想像もできなかった。

 今までの人生で、心が動いた女性は二人。

 薬川と薬川だ。

 一緒に暮らしてる薬川と、公園にいた薬川。

 ……こうして考えてみると、俺は、ほんとに、あいつしか好きじゃないんだな。

 たぶん、これから先の人生も、ずっと――。

 最初に薬川と結婚しろと言われたとき、こいつだけはないな、と思ったのに、
と社長に呼び出された日を思い出し、ちょっと笑う。
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