Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
「買い物に付き合って欲しいんだよね。これから必要なものを諸々買って回るから朝から晩までかかると思っておいて?」

 ふわりと向けられる笑顔を見て頬がほんのりと熱を帯びる。「わかりました」。想乃は俯きがちに返事をした。

 やがて自宅前に辿り着く。黒い門扉が見えてシートベルトを外した。

「じゃあ。明日も夜に迎えに行くね」
「はい。お願いします」

 ぺこっと会釈をし、ドアを開けようとしたところで「想乃」と呼び止められる。ドキンと心臓が跳ねた。

「明日は夕食も一緒できる?」

 あ、と声が固まり「多分」と返した。

「郷に言っておけば大丈夫だと思います」

 頬を若干あからめながら曖昧に頷いた。照れから慧弥の目を直接見れず、視線は宙を舞った。

「想乃のこと、色々教えてね?」
「……はい」

 おやすみなさい、とまた会釈をしてから車を降りた。「おやすみ」と微笑む彼を見て、去っていくSUVを見送る。ハァ、と脱力感から吐息がこぼれる。

 買い物っていったい何を買うつもりなんだろう?

 自宅のリビングに鞄を置くと、ようやく頭が冷静さを取り戻した。朝から晩までかかるって相当だよね。想乃は眉を寄せてうーん、と考え込む。

「しかし、慣れないなぁ……」
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