Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 想乃はトーク画面に目を落とし【からかわないでください】と返事を送った。するとヨシヨシと子熊を撫でるクマのスタンプが送られてきた。

 やっぱり慣れてる。そう思ってしまう。起きているときはラインの返信も驚くほど早いし、マメだ。

 未来人からのメールはいったん蓋をして忘れようと思った。

 それに何より、送り主が【未来の私】だというのは十中八九 嘘だと思っていた。

 私本人だとしたら両親が遭遇した海難事故をなぜ知らせてくれなかったのか、やはりそう思うからだ。未来に起こる災害や大金を得るための情報、不運に見舞われる子供の事故をあれだけ的確に教えられるのに、なぜ父たちの事故を未然に防ぐ術は与えてくれなかったのか。不思議で仕方ないのだ。

 私なら父には生きていてもらいたい。母には毎日笑っていてほしい。切実にそう願う。

 想乃は昨夜登録をした日記サイトにアクセスした。マイページの設定はまだ済んでいないけれど、簡単に《始まり》の日記を記した。

 仕事先のコンビニでKという男性に出会い、恋に落ちた。その後Kから期限付きの嘘の恋人を依頼されて期待と不安の入り混じる生活がスタートしたーーそのような内容をシンプルな文章で綴った。
< 115 / 480 >

この作品をシェア

pagetop