Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 イケメンでスパダリの御曹司。女性ならだれでも好感を抱いてしまうような存在に急接近されて、たとえ嘘とは言え、彼から恋人扱いをしてもらっている。お城の舞踏会で王子様に見初められたシンデレラのように。

 客観的に考えると、慧弥との出会いはあまりにもできすぎている。まるでだれかに仕組まれているかのようだ。

 昨夜書いた内容をなんとなく読み返していると、ピンポンとインターフォンが鳴った。いけない、宅配便だ。

 想乃はスマホをリビングに置くと、それから次々と届く宅配便の受け取りと荷物の片付けに追われた。

 クローゼットに納まった服と鞄、靴にアクセサリー。これだけで自分の給料の二ヵ月分を超える。

 仕舞った洋服などを写真に撮って貼り付け【ちゃんと受け取りました】とラインを送る。出かけるために服を出して着替えた。荷物の受け取りが予想以上に早く済んだので、母の見舞いに行ってから清掃業に向かおうと考えていた。

 ピロン、と通知音が鳴りラインを確認する。慧弥から【えらいえらい】と返ってきた。顔が綻んでつい笑ってしまう。続けて通知音が鳴った。

 あっ。

 写真が届いた。昨日一緒に夕飯を食べたとき、彼がスマホをかざしてふたりで撮ったものだ。

 嬉しい。

 恥ずかしそうに口元を手で押さえる想乃と得意げに笑う慧弥。こうして見ると、本物のカップルみたいだ。
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