Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
「ああ、面白かった〜、こんなに笑ったの久しぶり」
「もうっ! 慧弥さんってばあまりにも失礼ですよ!」

 言いながらぶらりとおろした両手を握りしめそっぽを向いた。「ごめんね想乃ちゃん」と耳元で囁かれる。

「機嫌なおしてそろそろ美味しいものでも食べに行こ?」

 慧弥の手が右手に触れて指を絡めて繋いでくる。それだけで怒っていたことなどどうでもよくなった。一瞬で心臓の奥がきゅんと痛んだ。

「……はい」。素直に返事をした。これが惚れた弱みというやつなのでしかたがない。

「誕生日、お祝いしてくれるでしょ?」
「それは、勿論」

 想乃を横目で見て、ふふふっ、となおも含み笑いをする慧弥を、想乃は空いた方の手で突っついた。
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