Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
第四章 冷静と情熱のはざまで
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嘘でしょ、三キロも増えてる……。
朝の脱衣所でバスタオルを巻いたまま、ふと目についた黒い薄型の体重計が気になった。素足を乗せてみるとデジタル表記された数字にアッと目を剥いた。再三確認してそろりと体重計から下りる。
この短期間でこれほど太ってしまった事実に愕然としていた。
心当たりはある。それも山ほどに。あれもこれもと数え出したらキリがないほど調子に乗って食べてしまったと自覚する。それに付随して立ち仕事もめっきり減らしてしまった。このところ日中は座ってピアノを弾いてばかりいる。
とどのつまり、食べている割には動いていない。摂取カロリーが消費カロリーを上回っているので、こうなるのは自然の摂理だった。
慧弥さんと食べるご飯があまりにも美味しくて……油断しちゃったなぁ。
想乃はもともと華奢な体つきで細身なほうなので、今のところコレが余分な脂肪ですよと目立っているわけではないけれど。このまま自制をかけずに突っ走れば、あの服が入らなくなってしまう。
ついしかめっ面で嘆息をこぼした。来月着る予定のパーティードレスを頭に思い浮かべた。慧弥が見立ててくれた紺色のワンピースは、繊細な小花柄のレース袖が華やかでとても可愛くて素敵な服だ。生地も薄めなので体のラインがはっきりと出る。