Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
呆けたようにぽかんと見上げていると「想乃が嫌じゃなければ」と続けられ、想乃はモジモジしながらも椅子を引いた。
そんな。嫌なわけがない。ただ恥ずかしいだけ。
契約書にあった【抱擁を要すると判断した場合は】の一文を同時に思い出し、ここで慣れておいたほうが今後のためにもいいかもしれない、そう考えた。
慧弥のそばに寄り、やや上目遣いで彼を見つめる。そのままゆっくりと彼の背中に両手を回し、控えめに抱きしめた。鼻先が胸元にくっ付いて極度の照れからぎゅっと目を瞑る。
彼特有の香りが顕著になって耳まで熱くなった。恥ずかしくて死んでしまいそうだった。
「お、お誕生日。おめでとう、ございます」
若干震える声で伝えると、慧弥の手が自分の背に添えられて、そっと抱きしめ返してくれる。ふわりとおろした髪を撫でられ「ありがとう」と囁かれた。
思ったとおり彼は想乃の真っ赤な顔を見て、ふふふ、と笑って頬を突っついた。「遊びすぎです」と反論してすぐさま席に戻った。
コース終盤のデザートでは、二種類のデザートプレートが提供された。その内のひとつは小ぶりなバースデーケーキで、蝋燭が花火のようにパチパチとまたたき、想乃は「可愛い」と言って瞳を輝かせた。
そんな。嫌なわけがない。ただ恥ずかしいだけ。
契約書にあった【抱擁を要すると判断した場合は】の一文を同時に思い出し、ここで慣れておいたほうが今後のためにもいいかもしれない、そう考えた。
慧弥のそばに寄り、やや上目遣いで彼を見つめる。そのままゆっくりと彼の背中に両手を回し、控えめに抱きしめた。鼻先が胸元にくっ付いて極度の照れからぎゅっと目を瞑る。
彼特有の香りが顕著になって耳まで熱くなった。恥ずかしくて死んでしまいそうだった。
「お、お誕生日。おめでとう、ございます」
若干震える声で伝えると、慧弥の手が自分の背に添えられて、そっと抱きしめ返してくれる。ふわりとおろした髪を撫でられ「ありがとう」と囁かれた。
思ったとおり彼は想乃の真っ赤な顔を見て、ふふふ、と笑って頬を突っついた。「遊びすぎです」と反論してすぐさま席に戻った。
コース終盤のデザートでは、二種類のデザートプレートが提供された。その内のひとつは小ぶりなバースデーケーキで、蝋燭が花火のようにパチパチとまたたき、想乃は「可愛い」と言って瞳を輝かせた。