Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 想乃はメール画面の下部にある返信バーをタップした。前回同様ちゃんと返事ができるようになっている。

 昨夜は腹立たしさからこのまま無視をしようと決め込んでいたけれど。メールを読み返すとやはり何か言い返してやりたいような気持ちになった。

【あなたが私というのは嘘ですよね? そもそも私はあなたを信用していません】
【慧弥さんに警戒しろという忠告も曖昧すぎて混乱しています】
【あなたが未来の私であるという証明をしてください】

 これで良し。

 いつも週に一回しかメールは届かないし、今回は二週間以上を空けての受信なので返事はすぐに来ないかもしれない。むしろそれでいいと思っていた。

 私は慧弥さんを信じているし、好きな人を疑いたくない。

 メール画面を閉じたところで、たまに鳴る通知音と一緒に細長いバナーが上からぶら下がる。不定期で書いている日記サイトにコメントが届いたようだ。

 慧弥との関係を記した内容はすでに母の治療を開始したことを記し、昨夜の誕生日については今朝書いて投稿していた。

《勝手ながら拝読させてもらっています。お母さまの治療が回復に向かうことを祈っています》

 今度は中傷的なコメントではなく純粋に母の治療を応援してくれるような内容で、自然と胸が熱くなった。
< 176 / 480 >

この作品をシェア

pagetop