Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
「初めてで緊張してたんですけど。担当の岩崎さんがすごく優しくてホッとしました」
「ふふっ、いいでしょ、あの人。笑顔が綺麗だし私も好きだわ」
鮮やかな口紅を引いた黎奈の唇が丸く弧を描いた。つられて想乃も微笑を浮かべる。ベージュ色のテーブルクロスがかかった丸いテーブル席で、黎奈と二人だけの空間だった。
他の利用客はいないのだろうか。つい気になり、黎奈に尋ねた。平日のこの時間は比較的空いているのだと教えられた。
「そういえば慧弥について教えてあげるって言ってたわよね?」
「あ、はい」
サーモンとアボカドのサラダに箸をつけながら、ことのほか彼の名前に反応してしまう。想乃は興味津々の目を向けた。
「慧弥のこと、と言うよりも。まずは並樹の家とか会社の重役について知っておく必要があると思うんだけど。弟からうちの家についてなにか聞いてる?」
想乃は無言で少し考えたのち、小さく首を傾げた。いえ、と返事をし、「そんなには」と続ける。
「慧弥さんからは……お父さまが還暦を迎えられることとお母さまが幼いころに亡くなったこと。あと、黎奈さんが二人のお子さんや旦那さんと一緒に、お父さまと同居されているとか……そういったことは聞きました」
「ふふっ、いいでしょ、あの人。笑顔が綺麗だし私も好きだわ」
鮮やかな口紅を引いた黎奈の唇が丸く弧を描いた。つられて想乃も微笑を浮かべる。ベージュ色のテーブルクロスがかかった丸いテーブル席で、黎奈と二人だけの空間だった。
他の利用客はいないのだろうか。つい気になり、黎奈に尋ねた。平日のこの時間は比較的空いているのだと教えられた。
「そういえば慧弥について教えてあげるって言ってたわよね?」
「あ、はい」
サーモンとアボカドのサラダに箸をつけながら、ことのほか彼の名前に反応してしまう。想乃は興味津々の目を向けた。
「慧弥のこと、と言うよりも。まずは並樹の家とか会社の重役について知っておく必要があると思うんだけど。弟からうちの家についてなにか聞いてる?」
想乃は無言で少し考えたのち、小さく首を傾げた。いえ、と返事をし、「そんなには」と続ける。
「慧弥さんからは……お父さまが還暦を迎えられることとお母さまが幼いころに亡くなったこと。あと、黎奈さんが二人のお子さんや旦那さんと一緒に、お父さまと同居されているとか……そういったことは聞きました」