Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 思い出せる範囲で彼との会話を伝えると、黎奈はふんふんと頷き、「なるほどね」と相槌を打った。

「やっぱり後妻のことは話してないんだ」
「……後妻?」
「父の再婚相手。もう十年も前になるんだけど、穂花(ほのか)さんって人と籍を入れてね。父との歳の差が十八もあって、私のひとまわり上になるの。戸籍上では義理の母にあたるんだけど(しと)やかでとても綺麗な人よ」
「それじゃあ。お父さまと同居されているのは……義理のお母さまと黎奈さんご家族ってことですか?」
「……いいえ。穂花さんとは連れ子婚だったから娘がひとりいてね。(たちばな) 花奏(かなで)っていうんだけどその子も一緒。私の九個下だから……想乃ちゃんの一個上になるのかな」

 つまりは二十一歳。年頃の女性だ。

「黎奈さんと慧弥さんに、義理の妹さんがいるってことですよね」
「ええ。並樹の戸籍には入っていないから法律上では他人になるんだけどね……この花奏(かなで)がなかなかに積極的で。慧弥へのアピールが過ぎるから、あの子も家を出ちゃったのよ。建前では私の結婚を機に一人暮らしをした(てい)になってるけど、実際は花奏が相当うっとうしかったみたい」
「そう、なんですか」
< 192 / 480 >

この作品をシェア

pagetop