Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 手前のグリーンスムージーに口をつけながら、思わず顔をしかめた。ほうれん草とキウイとバナナを使ったスムージーはみずみずしく美味なのだが、彼が置かれた生活環境の複雑さを思うと自然と眉を寄せてしまう。

「それじゃあ……全員で。七人で暮らされているということですね」
「そっ。家政婦やシッターの出入りもあるからわりとにぎやかよ?」

 家族とは別に家政婦やベビーシッターもいるのか。想乃は指折り人数を数え、およそ十人ぐらいだろうかと見当をつける。

 並樹家とは別に、ナミキホールディングスという会社の重役についても説明された。

 黎奈と慧弥の父、並樹(なみき) (あきら)を二代目の社長に据え、祖父の(いさお)が会長職に就いている。父、(あきら)の弟にあたる叔父の(おさむ)が副社長だ。

 黎奈の配偶者(パートナー)であり、なおかつ婿養子でもある木場(きば) 晴彦(はるひこ)が専務を担っている。

 そして次に続く常務というポストが慧弥だという。

「あの……慧弥さんからちらっと伺ったんですけど。いとこの方もいらっしゃるんですよね?」
「ああ、(じゅん)美海(みみ)のことね。(おさむ)叔父さんとこの息子と娘で私たちと年も近いから仲が良いのよ?」
「そうなんですか」
「ええ。特に美海は小さいころから慧弥が大好きでね、いつも弟のあとを付いて回ってたわ。大きくなったら慧弥のお嫁さんになるんだって豪語しててね」
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