Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
「……そ、それでどうしたんですか?」

 二十歳の彼がいったいその彼女にどう対応したのか。先が気になり、食い気味に尋ねていた。

「どうしたも何も、あっさりしたものだったわよ」

 黎奈はけろりと答え、ことの顛末を聞かせた。慧弥はうろたえることなく、淡々とこう応じたらしい。

 ——『話はわかった。まずは親子鑑定をするから子供の髪の毛を二、三本もらえる? 認知するかどうかはそのあと考える』

 DNA鑑定の結果はシロだった。慧弥がその子供の親である可能性はないと科学的に証明されたのだ。

「元カノとはそれっきり。縁を切ったんだって」

 想乃は真顔で固まり、ぽかんと口を開けていた。

「元々、彼女がわの浮気疑惑があったから別れたそうでね。慧弥は心底迷惑そうだったわ。『打算で交際するとロクな目に合わない』ってあとあとこぼしてたかな」
「だ、打算、というのは?」
「うーん。本当かどうかはわからないけど。面倒な子を避けるために、かりそめの彼女を作っただけって……わけわかんないでしょ?」

 無意識に自分の表情が強張った。

 慧弥は面倒ごとを避けるために、かりそめの彼女、つまりは嘘の恋人を作ったというのだ。
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