Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
慧弥が声のした方向へ振り返ると、「それじゃあ浅倉さん、また今度」と直接塚口から声をかけられる。次の機会があるかどうかもわからないのだが、想乃は小さく手を上げて見送った。
慧弥と想乃に合流したのは男女数人の若いグループだった。そのなかに先ほど黎奈から教えられた顔触れが三人。いとこの並樹潤と美海、義妹の橘花奏だ。いとこのふたりは慧弥や黎奈と歳も近く、仲がいいと聞いている。
「パパから聞いたわよ、婚約したんだって?」
紫色のオフショルダードレスを着た美海がカクテルグラスを片手に親しげな笑みを浮かべる。焦茶色のボブヘアにふわりとパーマをあて、野趣に溢れた強い眼差しを慧弥に向けた。
対する慧弥は「まぁね」と言って伏せ目がちに口元を緩める。
「浅倉想乃さん。俺の自慢の婚約者」
言いながらそっと肩を抱かれるので「浅倉想乃です、初めまして」と会釈をする。緊張とときめきでわずかに頬が熱くなる。「へぇ」と乾いた口調で美海が目を細めた。
「それにしても唐突だよな、驚いたよ。あの慧弥が? って」
兄である潤が美海の隣りで淡々と話した。明るい茶髪を後ろでひとつにまとめた彼は、どこか独特な雰囲気を持っている。
慧弥と想乃に合流したのは男女数人の若いグループだった。そのなかに先ほど黎奈から教えられた顔触れが三人。いとこの並樹潤と美海、義妹の橘花奏だ。いとこのふたりは慧弥や黎奈と歳も近く、仲がいいと聞いている。
「パパから聞いたわよ、婚約したんだって?」
紫色のオフショルダードレスを着た美海がカクテルグラスを片手に親しげな笑みを浮かべる。焦茶色のボブヘアにふわりとパーマをあて、野趣に溢れた強い眼差しを慧弥に向けた。
対する慧弥は「まぁね」と言って伏せ目がちに口元を緩める。
「浅倉想乃さん。俺の自慢の婚約者」
言いながらそっと肩を抱かれるので「浅倉想乃です、初めまして」と会釈をする。緊張とときめきでわずかに頬が熱くなる。「へぇ」と乾いた口調で美海が目を細めた。
「それにしても唐突だよな、驚いたよ。あの慧弥が? って」
兄である潤が美海の隣りで淡々と話した。明るい茶髪を後ろでひとつにまとめた彼は、どこか独特な雰囲気を持っている。