Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜


 慧弥の自宅は、都心の高級住宅街にそびえ立っていた。想乃の家から電車で一時間足らず。意外と近いのだなと思いながら、助手席の扉を静かに閉めた。

 三十階建ての高層マンションは、厳重なセキュリティを備え、コンシェルジュが常駐している。

 大理石の壁には洗練されたアートが飾られ、広々とした空間と漂う富裕層の雰囲気に圧倒される。想乃は慧弥と並んでエレベーターホールへ向かった。

 慧弥が上昇ボタンを押し、想乃はその光を見つめる。程なくして、鏡面仕上げの黒い扉が静かに開いた。

 慧弥の指が二十三階のボタンに触れる。なかなかの高層階だ。

 エレベーターを降りてすぐ、慧弥はある部屋の前で立ち止まり、「ここ」と指を差した。

 壁に埋め込まれたゴールドのプレートには『23-E』と刻まれていた。

 慧弥はビジネスバッグからネイビーのカードウォレットを取り出し、スマートにドアを解錠した。

「お邪魔します」

 慧弥に続いて玄関で靴を揃え、想乃はそっと部屋へ上がった。石目調のフロアタイルが、自宅とは違う優雅な雰囲気を醸し出していた。

 勧められたダークブラウンのスリッパを履き、リビングへと足を踏み入れる。

 ……すごい。

 思わずぽかんと口を開けてしまった。

 なんなの、この内装、すごすぎる。本当に……家?
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