Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 テーブルのファイルを手に取り、ページをパラパラとめくる。あっ、と目を見開いた。

 まず驚いたのは、それぞれの共通点や方向性に基づき、きちんとカテゴリーごとに整理されていたことだ。

 さらに、各ページにはインデックスシールが貼られている。当然のように、綺麗な文字で『演奏関係』『教育・指導関係』『資格を活かした仕事』『制作・クリエイティブ関係』と書かれている。

「すごいですね」と率直な感想がもれた。慧弥が想乃のそばに腰を下ろした。

「初めてデートをした日からすぐにまとめていたんだけど……あまり早いタイミングでこれを渡すと押し付けがましい気がして、渡せなかったんだよね」

「ごめんね」と遠慮がちに微笑む慧弥に、「いえ」と首を振った。

「慧弥さんって、やっぱりすごく仕事ができる人なんですね」

 見やすく整理されたリーフレットや、手書きのメモを見つめ、想乃は感心して息をついた。「ふふっ」と慧弥が笑う。

「仕事ができるかどうかは第三者が決めることだけど……時間は待ってくれないからね?」

 ……おっしゃる通りです。

 なんというか、全てにおいてスマートすぎる。

 慧弥の気持ちが嬉しくて、想乃はクリアファイルの1ページ目からじっくり目を通すことにした。

 すると、そこで彼が立ち上がる。
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