Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
第六章 揺らぐ未来、交わる心
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オフィスから帰宅したタイミングでスマホが鳴った。慧弥はリビングのソファに腰を下ろし、電話に出る。
「お疲れ様です、ミライさん」
仕事の疲れから脱力したような声を上げてしまうが、電話口で語りかけるミライの口調を聞き、慧弥は眉をひそめた。
『四度目の改変です』
慧弥は体勢を立て直し、ミライが語る内容に耳を傾けた。慧弥の表情が次第に険しくなっていく。
ミライの話は続いた。
『ただ、こちらとそちらではすでに“世界線が分岐している”と考えられるので、正確な日付や時間はわかりません。“どう対処するかは”、あなた自身で決めてください』
慧弥は眉間をしかめ、しばし考え込んだ。「なるほど」と吐き捨てるように言い、薄く笑った。その表情には、諦観の色が滲んでいた。
「……状況次第では、“僕も疑われることになる”……という意味ですね?」
『はい。あなたはそれでも構わないと判断する……そう見越して言っています』
「わかりました。きちんと対処します」
ソファから立ち上がり、慧弥は睨むように窓の外を見つめた。『ありがとうございます』とミライが礼を言う。
『時期は断言できませんが、事件は必ず起こります。絶対に彼女を守ってください』
念押しするように言われ、ミライからの電話は一方的に切れた。