Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 パーティーからまもなく二週間が経つ。ここ数日、想乃は目まぐるしい日々を送っていた。

 慧弥とピアノの仕事について話し合い、ブライダルピアニストを目指すことにしたため、黎奈からの誘いは断った。

 二足のわらじを履けるほど器用ではないし、仕事には真剣に向き合いたかったからだ。

 黎奈は特に気にした様子もなく、「わかったわ」と言いながら笑顔で頷いた。

 その週末、慧弥と二人で呉服屋へ行き、想乃の振袖を選んだ。然るべきスタジオで前撮りもきちんと済ませた。

 また、潤からの被写体の依頼は、慧弥を通じて連絡を取り、一月半ばに決まった。

 そして迎えたクリスマスイブ。想乃は病院で慧弥と待ち合わせ、デートを楽しんだ。

 街路樹に輝くシャンパンゴールドのイルミネーションを眺め、高級レストランでディナーをとった。

 イタリアンのコースが終盤に差し掛かり、デザートのタイミングで、店のスタッフが慧弥のもとへ薔薇の花束を運んだ。

「想乃、メリークリスマス!」

 慧弥から花束をプレゼントされて、想乃は驚きと感動から瞳を潤ませた。

 真紅の薔薇二十四本が、美しくラッピングされていた。正直、花束をもらうのも初めてだった。「ありがとうございます」と礼を言う声がわずかに震えた。

 慧弥が事前に店に頼み、花束を預けていたことを、あとで知った。
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