Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 二階へ上がり、部屋に入って扉を閉めた。スマホに通知が来る。【あと付け合わせはたくあんとか、漬物でいいと思う】と郷からラインが届いた。

 ハァ——と思わずため息を落としてしまう。

 そもそも、なんで私の手料理なんだろう? 婚約が本物なら、郷の言う通り、適正テストを疑うけれど……。ただのふりなのに。

 慧弥さんの考えていることが、いまいちわからない。

 今日渡された合鍵だって。いつも迎えに来てもらうから、使うこと自体なさそうだけど……。

 ピロン、と電子音がしてまたラインが届いた。また郷から? と思ったけれど違った。

【明日、楽しみにしてるね。おやすみ】

 慧弥からのメッセージを読み、胸がときめいた。【はい、頑張ります。おやすみなさい】。タタッと画面をタップして返信した。

 とにかく、考えても仕方ない。

 想乃はベッドに寝転がり、郷が送ってくれた動画レシピを見ることにした。

 動画はわかりやすく編集されており、確かに作れそうではある。

 ただ、鶏もも肉を買ったら、伝えていた食費の金額が跳ね上がってしまう上に、“なんちゃって”ではなくなるので、これはいいのかな、と考えた。

 明日また慧弥さんに確認しよう。
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