Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
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自室のデスクに座り、想乃はブログのコメントを眺めていた。
《素敵なクリスマス、お正月を迎えられましたね。ブログを読む限り、Kさんと両思いではないかと思うのですが、違うのでしょうか?》
《そうなんですね…好きにならないでと言われているのですね》
《でも、無責任なことを言うようですが、私が思うにはKさんは間違いなくピアノSさんが好きだと思いますよ》
《もしかしたら、それが恋だとKさんは気づいていないのかも?》
《ご成人おめでとうございます。素敵な成人式になりましたね》
何度かやり取りをした、顔も知らない相手に思いを馳せる。想乃はわずかに口角を上げた。優しい人がいるものだ。
新しい年を迎えた一月半ば。
年末年始を慧弥と過ごし、二十歳の成人式を終えた。そのことを綴った日記を、なんとなく読み返していた。
嘘の恋人役をしているKに失恋したと気づきながらも、まだ片思いを続けている——そんな恋煩いを赤裸々に綴っていた。
想乃はつい先日のことを思い出しながら、新たなページに文章を打ち込んだ。
一昨日の土曜日、慧弥のいとこ・並樹潤から、被写体の依頼を受けたのだ。
呼び出されたのは、ピアノが常設されたアンティーク風のカフェだった。