Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
慧弥に相談し、月四回のレッスンを半年ほど続けてから試験を受けようと決めた。なので、グレード五級の試験は八月だ。
試験対策に特化した教室を調べて申し込み、今月末の月曜日からレッスンが始まる。
「レッスンを受けるのは大学以来だから、ちょっと緊張もしているんですけど……楽しみでもあるんですよね」
両手にカップを包み、想乃がはにかむように言うと、慧弥はふっと口角を上げた。
「口コミ情報によると、比較的厳しい先生がいる教室だとか?」
「はい。でも、今の私には厳しく指導してくれる先生がちょうどいいです。大学を辞めてから演奏が独りよがりになっている気がして、客観的に教えてもらえたらなって」
「だからって、あまり無理をして、根を詰めすぎないようにね?」
「はい、体調には気をつけます」
「それもあるけど」と言って笑い、慧弥が一度ソファを離れた。
キッチンにある冷蔵庫からノンアルコール飲料を出し、白いトレイに二人分のグラスを載せて戻ってくる。
「お母さんの治療で病院にも行ってるんだし。レッスンが始まった途端、ピアノばかりで俺がないがしろにされたら寂しいでしょ?」
「ないがしろって……」
慧弥の口ぶりに、想乃は思わず笑ってしまう。
「想乃ちゃん、何事もほどほどに、だよ?」
試験対策に特化した教室を調べて申し込み、今月末の月曜日からレッスンが始まる。
「レッスンを受けるのは大学以来だから、ちょっと緊張もしているんですけど……楽しみでもあるんですよね」
両手にカップを包み、想乃がはにかむように言うと、慧弥はふっと口角を上げた。
「口コミ情報によると、比較的厳しい先生がいる教室だとか?」
「はい。でも、今の私には厳しく指導してくれる先生がちょうどいいです。大学を辞めてから演奏が独りよがりになっている気がして、客観的に教えてもらえたらなって」
「だからって、あまり無理をして、根を詰めすぎないようにね?」
「はい、体調には気をつけます」
「それもあるけど」と言って笑い、慧弥が一度ソファを離れた。
キッチンにある冷蔵庫からノンアルコール飲料を出し、白いトレイに二人分のグラスを載せて戻ってくる。
「お母さんの治療で病院にも行ってるんだし。レッスンが始まった途端、ピアノばかりで俺がないがしろにされたら寂しいでしょ?」
「ないがしろって……」
慧弥の口ぶりに、想乃は思わず笑ってしまう。
「想乃ちゃん、何事もほどほどに、だよ?」