Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
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一月の終わりが近づくにつれ、寒さが急激に増していった。
朝、想乃がカーテンを開けると、窓の向こうには白く霞んだ街が広がっていた。夜のうちに冷え込んだ空気がそのまま留まり、吐く息はすぐに白く染まる。
外に出ると、身を切るような風が頬を打った。つい数日前まではもう少し穏やかだったはずなのに。
想乃はポケットに手を突っ込んだまま、足早に歩き出す。駐車場に停まった車のバンパーや窓が凍りついている。道端の植え込みには霜が降り、コートの襟を立てた人々が肩を縮めながら行き交っていた。
寒波の影響は日を追うごとに強まり、二月を迎えた頃には、想乃の部屋の窓も薄く凍りつくようになっていた。
暖房をつけていても、どこか足元が冷え冷えとする。朝、ベッドから出るのがますます億劫になった。
それでも、春が遠のいたわけではない。どこかで梅の蕾が膨らんでいるかもしれない、そう思いながら、想乃は白い息を吐いて街へ出る。
冬の終わりはまだ見えないけれど、季節は確かに移ろっている。
そんなとき、黎奈から誘いのラインが入った。
【春物の新作で想乃ちゃんに似合いそうなワンピースがあるんだけど、一度試着しに来ない?】
【今週の木曜日はどう?】
……春物のワンピースか。
想乃は自宅でメッセージを読み取り、自然と口元を綻ばせた。嬉しかった。