Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 黎奈が自分に似合うと思ってくれたことが、何より嬉しい。

【ありがとうございます!】
【木曜日、行きます!】

 素早くメッセージを打って送信した。

 *

「ねぇ想乃ちゃん。これとこれなんだけど、いいと思わない? 絶対想乃ちゃんに似合うと思って」

 黎奈が勧めたワンピースは二着だった。

 ひとつ目はハイウエストのカシュクールドレス。紺地に大きな牡丹の花がプリントされていて、大人っぽい。試着してみると、いつもよりスタイルが良くなったように感じた。

 ふたつ目は蝶柄が無数にプリントされたシフォンドレス。こちらは可憐で甘い印象を受けた。同じく試着すると、肌の白さが際立ち、女性らしい柔らかい雰囲気になるのが好印象だった。

 言うまでもなく、どちらもハイブランドの品だった。試着する際、値札をそっと見て、買うのは到底無理だと諦めた。

 想乃が試着室から出て一着目、二着目とワンピース姿を見せると、黎奈は「思ったとおりだわ」と言い、目を細めた。

 再び試着室に入り、着てきた私服に着替えるため、そっとワンピースを脱いだ。ハンガーを手に取り、丁寧にワンピースを掛けていると、カーテンの向こうで黎奈と誰かの話し声が聞こえた。話しぶりからして、知り合いと偶然会ったようだった。
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