Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜


 想乃は「は、」と息を吐き、曖昧な笑みを浮かべた。

「ブログ? ……なんですか? それ」

 間の抜けた台詞が勝手に舌の上からこぼれ落ちる。何も知らないふりをすれば、この瞬間がなかったことになる——そんな風にしか考えられなかった。

「しらばっくれても無駄。さすがに共通点が多すぎるもの。黎奈ちゃんも読んだらわかると思う」

 言いながら、美海が隣の黎奈に目配せする。

「一番新しい投稿は、写真のモデルを務めたってやつね」

スマホ画面をスクロールしながら、美海の指が所定のページを開き、想乃に見えるよう画面をかざした。

「《つい先日》っていう書き方で日時はぼかしているけど。これ、どう考えても兄のことでしょ? カフェを貸し切って写真を撮ったって嬉しそうに話してたもの」

 やめて。

 その言葉が喉元まで込み上げるが、形にはならない。想乃は蒼白な顔で、ただじっと目を伏せていた。

 違うと否定したいのに、適当な言い訳が思いつかない。

 ブログには、確かに想乃とピアノSを結びつける共通点がたくさん書かれている。日記なので当たり前だ。

 コンビニで出会ったKに恋をしたこと。
 Kとの交際を始めたこと。
 母の治療を開始したこと。
 上流階級のパーティに参加したこと。
 成人式へ出たこと。
 写真の被写体(モデル)を務めたこと。
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