Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
「……え?」

 ここはどこ……?

 シーツの乱れた広いベッド。白いリネンが、素肌に触れている。……冷たい。嫌な予感がして、慌てて体を見下ろした。

 下着姿——。

 込み上げる羞恥心に、そばのシーツを慌てて引き寄せる。心臓がバクバクと、汗をかいたように早鐘を打ち始めた。

 何かがおかしい。何かがおかしい。何か……いや、絶対におかしい。

 最後に覚えているのは、喫茶店で穂花さんと話していて、それから——。

 肩がビクンと跳ねた。息を呑む。

 ——誰かいる。

 ベッドのすぐそばに、知らない男が座っていた。

 スーツの上着は脱がれ、シャツのボタンが二つほど外れていた。見た感じ、ひと回りほど年上の男だ。

 グラスを片手に、ソファで寛いでいる。アルコールの匂いが微かに漂った。

「……目が覚めた?」

 低く落ち着いた声。まるで他愛ない会話でもしているような口調。その平然さが、余計に恐ろしかった。

 恐怖が一気にせり上がる。手足の感覚がなくなり、背筋が凍りついた。

 ここはどこ? どうして私、この人と——?

 シーツを掴み、思わず身を縮こまらせる。

 ここって……ラブホテル?

 ベッドの向かいには、大きなテレビが壁に埋め込まれている。画面は消えたまま、黒々とした光沢がこちらを映し出していた。
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