Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
「……“ずっと”って。なんですか?」
「……うん?」
「慧弥さん、言いましたよね。ずっと守るって」
「……え、と……?」

 慧弥が口ごもる。どう返すべきか迷っている様子が、横顔からありありと伝わった。

「ずっとなんて……ありません。あと八ヶ月もしたら終わってしまう関係です」
「……想乃?」
「ずっとなんて。軽はずみに言わないでください……っ」

 もうこれ以上、この人を好きになってはいけないのに……! 頭ではそうわかっているのに、心が理解してくれない。

 再び泣き始めた想乃に狼狽し、慧弥は通りかかった公園の傍に車を停めた。「ごめん」と言い、必死に宥めようとしている。

「想乃を泣かせるつもりで言ったわけじゃない。俺の言い方が気に障ったなら謝るよ、本当にごめん」

 想乃はふるふると首を振った。自分でも、なぜこんなに泣いているのか、わからなかった。

 ただ、もう嫌だった。もう限界だった。

「……っうぅ、こんな嘘ついて馬鹿みたい」
「……え?」
「嘘なんです、全部っ」
「想乃……?」

 両手で顔を覆い、泣き続けていると、慧弥が焦ったように顔を覗き込んでくる。

「本当は、好きなんです……っ」

 不意に、慧弥が息をのむのが伝わった。

 涙に濡れた顔を上げ、想乃は切実に想いを告げた。
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