Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
「はい。お友達の水沢さんですよね、捜査二課の刑事さんだとか……?」
「そっ、完全に管轄外。お偉方からの計らいで、多少処分は軽くされたけど……困るんだよなぁ、私的捜査にも該当するし。もうこれで終わりにして欲しいよ」

 そう言って水沢は苦笑した。ブラックの缶コーヒーを飲む水沢を、ふと見上げる。

 野生的でたくましい雰囲気があり、第一印象は怖そうだった。けれど、笑うと驚くほど印象が変わる。

 そういえば黎奈が「笑うとすっごくチャーミング」と言っていた気がする。

「あの」と水沢に声をかけた。

「慧弥さんからよく頼まれるんですか? そういう、捜査とか……」
「……いや、今回と前回だけ。きみにストーキングしていた山辺の件もそうだよ」
「どっちも私絡み……ですよね」
「そっ。何なんだろうな、あれ」
「……え?」
「虫の知らせっつーか。浅倉さんのピンチをいち早く察する能力でもあるんじゃないかな?」

 私のピンチを……。

 そう考え、またXからのメールを思い出した。

 私に起こる不幸の情報を本当に知っているんじゃ……?

 想乃に届くメールのように、慧弥は未来から情報を得ているのではないか。ますます疑念が膨らんだ。

 思えば、GPSを持たせたのも、今回の事件を見越しての判断なんじゃ……?

「そういえば浅倉さん。正式に慧弥と付き合うことになったんだって?」
「えっ?」
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