Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 ふっと慧弥が笑った。「想乃らしいね」と続け、穏やかな笑みを浮かべる。その表情に、想乃の心も少しだけ和らいだ。

「いい加減……想乃にだけは……話しておいたほうが、いいのかもな」
「え……」

 想乃の胸がドキンと音を立てた。なにか大きな変化を迎えるような、そんな予感がした。

 慧弥の横顔は、どこか諦めたようで、遠い目をしていた。瞳がかすかに潤んでいるのが、想乃にははっきりと見て取れた。

「エグい話になるけど」と前置きし、慧弥は口元を歪めた。

「高校生のころ……。性被害に遭った」
「……え」
「あいつ……。穂花に……」
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