Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 下腹のあたりが、きゅんと疼いた。

「想乃」

 低く甘い声が囁く。「好きだよ」。

 再び唇が重なると、不意に慧弥の熱が流れ込んできた。

 思考が溶けていく。

 熱い疼きが、次第に濃くなる。

 唇の隙間から、小さく息が漏れた。

 慧弥の手が耳元から離れ、想乃の肩先にそっと触れた。指先が薄布をなぞり、その熱が肌にじんわりと染み込んでいく。

 不意に、指が膨らみの上をかすめた。

 ピクリと体が震え、息を詰める。

「大丈夫……最後までしないから」

 耳元で囁かれる甘やかな声と、優しく触れる手のひら。想乃の鼓動がますます速くなった。

「俺にまかせて?」

 静かに問いかけられる。

 想乃は目を閉じたまま、小さく頷いた。胸の奥で、不安と期待が入り混じる。心臓がうるさいくらいに早鐘を打っていた。

 慧弥の唇が首筋をなぞり、胸元へと降りていく。

 想乃はそっとまつ毛を震わせ、うっすらと目を開けた。唇が触れた瞬間、喉の奥から小さな声が漏れる。

 彼の吐息がふわりと肌に落ちるたび、知らなかった感覚が全身を駆け巡る。

 触れられるほどに、体の奥に灯った熱が少しずつ広がっていく。

 もっと——。もっとたくさん、触れて欲しい……。

 その瞬間。

 慧弥がふっと身を引いた。

「今日はここまでね」
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