Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 想乃は慌てて手を振る。けれど慧弥は、それでも納得できないように眉を寄せていた。

 弱ったな……。

 初めてのときは痛いと、ネットの情報で知っていた。

 だから、覚悟はしていたつもりだった。

 でもまさか、翌朝までこの重さを引きずるとは思わなかった。

 慧弥の肩が、わずかに落ちる。

 目の前でしょんぼりと落ち込んでいる姿を見て、想乃は思わず困ったように首を傾げた。

「大丈夫ですよ?」

 できるだけ明るい声を出し、そっと微笑む。

「痛み止めもじきに効くし。全然平気です」

 そう言ってみせると、慧弥はまだ納得しきれない様子ながら、小さく息を吐いた。

「動くのが辛いだろうし……今日も部屋デートだね」

 すっきりと晴れた窓の外を眺めながら、慧弥が一日の予定を考え始める。

「え」

 想乃は小さく眉を寄せた。

「私……外に出たいです。もちろん、慧弥さんがしんどくなければ……なんですけど」
「……俺?」

 慧弥は意外そうに目を瞬かせる。

「俺はもうなんてことないけど……想乃が」
「私、ずっと軟禁状態だったんですよ? 久しぶりに外の空気が吸いたいです」
「……あー……そっか」

 慧弥の言いつけを守り、彼が帰国するまで部屋に缶詰め状態だったのだ。デートをするなら、やっぱり外がいい。
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