Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 メールを見せるべきか——迷う。

 Xとのやり取りを思い返せば、慧弥は確実に気を悪くするだろう。

 けれど、このままごまかすのも不誠実だ。

 想乃は小さく息を吐き、意を決して言葉を紡ぐ。

「信じられないかもしれないけど……去年の八月ぐらいから。未来人を名乗る誰かから、メールが届くようになったんです」

 その瞬間。

 慧弥の表情が固まった。

「……え?」

 驚きに目を見開き、息を呑む。

 想乃は、慧弥にドン引きされることを覚悟して、慎重に話を続けた。

【未来人からのお知らせ】と題された、不審なメール。

 最初は週に一度、遅いときは二週間に一度のペースで届いた。

 内容は、災害や万馬券の予知——まるで未来を知っているかのようなものだった。

 それだけならまだいい。問題は、最初は一方的に受信するだけだったのに、ある時から送信ボタンが現れ、こちらからも返信できるようになったこと。

 誰が送り主なのかわからない。

 それが怖くて、一度は慧弥に相談しようと考えた。

 だが、その気持ちを押し留めたメールがある。

 ——【並樹慧弥という男性にはもう出会いましたか?】
 ——【警戒を怠らないでください】

 慧弥に警戒しろ、というメッセージだ。
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