Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 想乃の未来を知っているような口ぶりで、あたかも忠告するかのような内容だった。

 ……でも、いったい何を?

 想乃は、自分でも整理しきれない違和感を抱えたまま、慎重に慧弥の表情をうかがった。

「その未来人は……自分が誰か、っていうのを想乃に話した?」

 慧弥の問いかけに、想乃は曖昧に目を泳がせ、小さく頷いた。

 少なからず、真剣なまなざしで聞いてくれることに、ほっとする。

「未来の、私だって言ってました。三十年後の……私だって」

 静寂が落ちる。

 部屋の空気が、ふっと冷えたような気がした。

「……変だな」

 低く呟く慧弥。

「そんなはずはないんだけど……」

 独り言のようなその言葉に、想乃は僅かに眉を寄せた。

 慧弥はじっとこちらを見つめ、ゆっくりと口を開く。

「今まで俺に言えなくて……嫌だったでしょ?」

 想乃は頷く。

 そして、おそるおそる尋ねた。

「……信じてくれるんですか?」

 慧弥はきょとんとした表情を浮かべ、それからふっと微笑む。

「想乃が俺に嘘をつく理由がないじゃん」

 あまりにも自然なその言葉に、胸の奥がじんわりと温かくなる。

「……想乃が嫌じゃなければ……メールの履歴、見てもいい?」

 そう言いながら、慧弥はゆっくりと手を差し出した。

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