Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
【今現在の私は病気と闘いながら孤独に生きています。並樹への恋心を断ち切って、もっと早くにあの人の気持ちに応えていたらと後悔しています】

【還暦祝いパーティーで出会います。ここで名前を教えることはできませんが、会えばわかります。彼の存在が、いずれあなたを並樹から救ってくれます】

 想乃が……誰と会うって?

 慧弥は眉間に深く皺を寄せた。

 パーティーの場で、彼女に紹介した異性は——父を含めて四人。

 叔父の蔵、同期の塚口、そして従兄妹の潤。

 この中の誰かと恋仲になるとでも?

 ……くだらない、全くのでたらめだ。

 Xという人物の目的は明白だった。

 ただ想乃を不安にさせ、混乱させること。

 おそらく過去の想乃から、何か情報を引き出そうとしているのだろう。

 慧弥は画面をスクロールし、最後のメールまで読み終えた。

 Xが生きる世界では、想乃の母・江里が亡くなり、弟の郷は酷いいじめを受け、不登校になっている。

 事前にミライから聞かされていた、想乃の不幸とぴたりとリンクしていた。

 間違いない。

 三十年後のXは、ミライと同じ世界線に生きている。

 メールのニュアンスからして、Xが未来の自分を恨んでいるのは確実だった。

 そしてラストにはこの内容だ。
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