Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 わざわざ三十年後から過去に干渉し、不幸な出来事を改変し、想乃の運命を大きく変えろと指示してきた。

 過去を変えたあと、慧弥はこう確認した。「未来(そちら)は変わりましたか?」と。

 それに対し、ミライは『いいえ』と答えた。

 十二月中旬に受けた四度目の改変では、こんなことを言っていた。

 ——『未来(こちら)過去(そちら)ではすでに世界線が分岐していると考えられるので、正確な日付や時間はわかりません』

 世界線が分岐した——。

 つまり、ミライは自分たちが生きる世界線とは別に、もうひとつの世界——並行世界(パラレルワールド)を新たに作り上げた。

 それは、想乃が幸せになる未来を想定した世界だ。

 なぜ、そんなことをする必要があるのか?

 その明確な動機はまだ見えない。
 だが、絶対に何か裏がある。

 ミライの背後には、緻密に計画を立て、それを今まさに実行している“誰か”がいる。

 俺を使って。

 慧弥は静かに息を吐いた。

 そろそろ、次の電話でミライに確認するべきだ。

 どうせミライはしらばっくれて言葉を濁すだろうが……こっちには想乃がいる。

 想乃を電話に出せば、ミライは必ずボロを出す。

 慧弥は瞑目し、ふふっとほくそ笑んだ。

 そうなると、必然的に想乃とは情報を共有しておかなければならない。
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