Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 Xからのメールが途絶えて、すでにひと月半以上が経っている。

 このことから考えても、Xが再びコンタクトを取る可能性はもはやないだろう。

 想乃から欲しかった情報を引き出したために、もう用なしになったのだ。

 おそらくは、パスワードに繋がるヒントを得た。

「想乃」

 慧弥は借りていたスマホを返し、優しく微笑んだ。

「ありがとう。Xのメールを見せてくれたおかげで、色々とわかったことがあった」
「……え?」

 想乃は眉を八の字に寄せ、不安げに小首を傾げる。その仕草のひとつひとつが本当に可憐で可愛らしい。

 けれど、今は愛情表現をしている場合ではない。

「黙っていてごめん」

 慧弥は、潔く告白することにした。

「Xの最後のメールだけ、当たってる」

 想乃の視線が自身のスマホへと落ち、そしてすぐにサッとこちらを見上げた。

 わずかに息をのんでいるが、驚きはそこまで大きくない。

 これまでに、そうかもしれないと、小さな疑念を募らせていたのだろう。

「俺は、想乃と出会う少し前から……未来人と連絡を取っている」

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