Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
「もう海外出張から戻られたんですね……まさか、こんなところでお会いするとは」

 そう言いながら、塚口は視線を想乃へと移した。

「なるほど、デートでしたか」

 口角をわずかに上げるその様子に、想乃はすぐさま微笑み、軽く会釈した。

「パーティー以来ですね。お久しぶりです、塚口さん」
「ああ」

 短く応じた塚口が、少しだけ目を細める。

「どうも、その節は」

 想乃は恐縮しながら再び小さく頭を下げた。

 塚口は再び慧弥へと向き直る。

「ところで、情報システム部の方は順調ですよ。例のプロジェクトも、僕らに見せてもらえる範囲では問題なく進んでいます」
「……そうか」

 慧弥は目を細めたあと、短く答え、口元にわずかに笑みを浮かべた。

 塚口はその笑みを受け流すように曖昧に笑い、肩をすくめる。

「まあ、僕は言われたことをやるだけなんで。お偉いさんたちの考えにはついていけませんよ。そういうの、得意じゃないんでね」
「ははっ」

 慧弥は眉を下げ、苦笑まじりに笑う。

 その空気の中で、塚口はまだ何か言いたげだった。

 それを察した慧弥が、「悪いけど」と唐突に会話を断ち切った。

「そろそろ失礼するよ。彼女、あまり体調が良くないんだ」
「それなのに連れ回しているんですか?」
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