Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
「つまり、今後も僕の世界とミライさんの世界で、時間の流れに差が出る可能性があると……?」
『はい。今回のズレが偶然なのか、それとも恒常的なものなのかは、今後の観測次第ですね。ただ……もしこのズレが拡大し続けたら、私と慧弥さんが再び通信できる保証はありません』
「……そうですか。それなら、なおのこと。通信できている今に重要な話をしておいたほうがよさそうですね?」
慧弥はソファに腰を下ろし、想乃に笑顔で手招きした。その視線に促され、彼の隣に静かに座る。
ミライから電話がかかってくるまでの間に、慧弥が進めている研究について、想乃は簡単な説明を受けていた。
ナミキホールディングスの情報システム部は、表向きとして「量子通信技術の研究」や「次世代ネットワーク開発」を行っている。
しかし、その一部に存在する「次世代通信技術研究室」では、極秘裏にワームホール技術を利用した時間跳躍や物質転送の研究が進められていた。
技術の流出を防ぐため、ごく少数の人間だけが関与し、外部には一切公表されていない。
ミライから過去干渉の電話を受けたとき、想乃は、慧弥からある確信を得たのだと聞いていた。
——今進めているこのプロジェクトは、三十年後には完全に実用化されている。
そう考えたからこそ、ミライからの不審な電話を単なるイタズラと切り捨てることなく、慎重に対応してきたのだ、と。
『重要な話、ですか……』
電話の向こうで、ミライが低く呟いた。
『はい。今回のズレが偶然なのか、それとも恒常的なものなのかは、今後の観測次第ですね。ただ……もしこのズレが拡大し続けたら、私と慧弥さんが再び通信できる保証はありません』
「……そうですか。それなら、なおのこと。通信できている今に重要な話をしておいたほうがよさそうですね?」
慧弥はソファに腰を下ろし、想乃に笑顔で手招きした。その視線に促され、彼の隣に静かに座る。
ミライから電話がかかってくるまでの間に、慧弥が進めている研究について、想乃は簡単な説明を受けていた。
ナミキホールディングスの情報システム部は、表向きとして「量子通信技術の研究」や「次世代ネットワーク開発」を行っている。
しかし、その一部に存在する「次世代通信技術研究室」では、極秘裏にワームホール技術を利用した時間跳躍や物質転送の研究が進められていた。
技術の流出を防ぐため、ごく少数の人間だけが関与し、外部には一切公表されていない。
ミライから過去干渉の電話を受けたとき、想乃は、慧弥からある確信を得たのだと聞いていた。
——今進めているこのプロジェクトは、三十年後には完全に実用化されている。
そう考えたからこそ、ミライからの不審な電話を単なるイタズラと切り捨てることなく、慎重に対応してきたのだ、と。
『重要な話、ですか……』
電話の向こうで、ミライが低く呟いた。