Deception〜私たちの恋の裏にはそれぞれの思惑が渦巻いている〜
 【ナミキホールディングス】という会社は創業五十年を超える多角化経営の老舗企業で、業界・業種、国内・海外を問わず、社会が求めているモノやサービスを提供し続けることを理念として掲げている。

 事業内容としては、工業資材の製造販売を手掛ける事業や医療機器の導入、ヘルスケアに関する事業。
 BtoC向けの事業ーーたとえば美容健康製品の通信販売事業であったり、飲食店や教育のFC2事業、スタートアップ支援事業や動画制作事業なんかも幅広く手掛けている。

 グループ企業の傘下で言えば事業内容はまだあるらしいけれど。

 要するに数ある子会社の株式を保有する親会社が【ナミキホールディングス】だと言う。

「……はぁ」

 想乃は一連の説明を聞きながらひとまずは頷いた。

 事業の内容についてはまるでちんぷんかんぷんだが。ただひとつわかることは、とんでもないお金が動く大企業に属している、ということだ。

「俺はそこの常務取締役を担っている。先に断っておくと入社試験については適正なルートを辿ったからコネはない。並樹家の長男に生まれて今年で二十七歳になる」

 しかも御曹司で長男。気品あふれるエリート社員。いわゆるスパダリというやつではないかと思った。

 スーパーダーリン。つまり何でもできる完璧な男性を差す言葉で、高学歴・高身長・高収入といったハイスペックさだけではなく、余裕も包容力もあって、おまけに性格も良いイケメンのことだ。
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