灰を被らないシンデレラ



そんな焦りを抱きつつ過ごしていた日曜日の朝、珍しく少し早く起きてきた柊からドライブへ誘われた。

久しぶりの外出に少し胸が躍ったが、迷惑でないかと返事を濁していると郷を煮やした柊に強制連行された。

半ば無理矢理車に乗せられなんて強引なんだと思わなくもないが、それほど嫌と思えないから困る。


そして車で一時間ほど走り、目的の場所だと降ろされたのは青い海の広がる海岸だった。
さすがに10月も終盤なので泳いでいる人は居ないが砂浜でバーベキューなどを楽しんでいる姿がちらほらと見える。

なぜ海なのだろうと思った。


海には昔、見識を広める一貫として見に来たことがある。
本当に見るだけで家族や友達と遊んだ記憶は一切ないので、確かにキラキラと輝く水面は綺麗だとは思うが思い入れはほぼ無い。


「ここ、俺の地元」


運転席から降りた柊が憂の隣に立ちながら言った。

彼自身の昔の話を聞くのは初めてだったので少し驚いた。





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