灰を被らないシンデレラ



柊の母親には会ったことはあるが、良くも悪くも放任らしく会ったのは顔合わせの時のみでそれきりだ。
その際にも柊の子供の頃の話は一切無かった。

普通に会話はしていたからうちのように複雑な関係ではないのは伺えたけれど、よく考えてみれば憂は柊の事はそれほど知らない。


[どうしてここに連れてきてくれたの?]
「深い意味はねえよ。まあ…強いていうなら俺もお前と同じだって言いたくてな」


同じとはどういう事だろうか。

怪訝な顔をする憂をチラリと見やり、柊は海岸の方へ目を向けた。


「あの日言ってたろ。母親がどうこう元ヤンがどうこうって。やたら釣り合いを気にしてるようだったからな」


確かに言ったけれど。

どちらも憂にとっては触れられたくない汚点だ。
特に母親については幼い頃からずっとそれで蔑まれ、実の親にまで疎まれてきた原因なのだから。




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