〜Midnight Eden〜 episode1.【春雷】
部屋には白髪の男と黒髪のボブヘアの女がいる。
男も女も裸だった。美夜の位置からは、畳に寝そべる男とその上に跨がる女の様子がよく見えた。
白髪の男は美夜の祖父、女の方は……佳苗だ。
裸になった祖父の上に佳苗は大きく脚を広げて跨がり、肉付きのいい腰を上下に振っていた。豊満な胸が彼女の動きに合わせて揺れている。
「……あっ、んっ、あぁあんっ……! おじいちゃん、きもちいいよぉ……イっちゃうぅ……」
佳苗と祖父は、美夜がこれまで聞いたことのない奇声を上げていた。
「……佳苗……」
美夜の一言で佳苗の動きが止んだ。耳が遠くなってきている祖父には聞こえていないのか、祖父は反応を示さない。
顔の角度を変えた佳苗がこちらを見る。目が合った瞬間に、佳苗がニヤリと笑っていた。悪魔の……笑いだった。
目の前のおぞましい光景から美夜は逃げた。今すぐここから逃げ出したくて、全速力で自転車のペダルを漕いで自宅に帰った。
家に戻っても夕暮れに照らされた悪夢の光景が目に焼き付いて離れない。裸の祖父と裸の佳苗、佳苗の甘えた声、祖父の奇声……何もかもがおぞましい。
佳苗からメールが来たのはその夜だ。「今から会えない?」と言われて指定されたのは、家の近所の公園。
美夜が公園に着いた時、佳苗は呑気にブランコに乗って遊んでいた。12月の夜空の下、美夜の心もこの気温と同じく冷えきっていた。
「そんな怖い顔しないでよ」
「なんなのあれ……」
ブランコを覆う柵の前で美夜は佳苗を睨み付けた。佳苗はけろりと笑って、まだブランコを漕ぎ続ける。
「あー……美夜には刺激強すぎたよね。あんたはまだ処女だもんねぇ」
「答えて! なんで佳苗がお祖父ちゃんの家に?」
「美夜のお祖父ちゃんの家なんて、昔から行ってるじゃない」
「そんなことが聞きたいんじゃない! 私が聞きたいのは……」
美夜はその先をどうしても言えなかった。口に出せば目撃したものが真実になる気がして、見たものが現実になってしまう気がして、言えなかった。
佳苗は美夜を嘲笑っていた。彼女はブランコを漕ぐ速度を落とし、次第にブランコが動きを止める。
「美夜は孫だからそういう目で見れないだろうけど、おじいちゃんだって男なんだよ。おばあちゃんが死んじゃって、寂しかったんだよね」
お祖父ちゃんが男……そんなこと考えたこともなかった。お祖父ちゃんは“お祖父ちゃん”と言う生き物で、美夜にとっては優しい祖父。
男も女も裸だった。美夜の位置からは、畳に寝そべる男とその上に跨がる女の様子がよく見えた。
白髪の男は美夜の祖父、女の方は……佳苗だ。
裸になった祖父の上に佳苗は大きく脚を広げて跨がり、肉付きのいい腰を上下に振っていた。豊満な胸が彼女の動きに合わせて揺れている。
「……あっ、んっ、あぁあんっ……! おじいちゃん、きもちいいよぉ……イっちゃうぅ……」
佳苗と祖父は、美夜がこれまで聞いたことのない奇声を上げていた。
「……佳苗……」
美夜の一言で佳苗の動きが止んだ。耳が遠くなってきている祖父には聞こえていないのか、祖父は反応を示さない。
顔の角度を変えた佳苗がこちらを見る。目が合った瞬間に、佳苗がニヤリと笑っていた。悪魔の……笑いだった。
目の前のおぞましい光景から美夜は逃げた。今すぐここから逃げ出したくて、全速力で自転車のペダルを漕いで自宅に帰った。
家に戻っても夕暮れに照らされた悪夢の光景が目に焼き付いて離れない。裸の祖父と裸の佳苗、佳苗の甘えた声、祖父の奇声……何もかもがおぞましい。
佳苗からメールが来たのはその夜だ。「今から会えない?」と言われて指定されたのは、家の近所の公園。
美夜が公園に着いた時、佳苗は呑気にブランコに乗って遊んでいた。12月の夜空の下、美夜の心もこの気温と同じく冷えきっていた。
「そんな怖い顔しないでよ」
「なんなのあれ……」
ブランコを覆う柵の前で美夜は佳苗を睨み付けた。佳苗はけろりと笑って、まだブランコを漕ぎ続ける。
「あー……美夜には刺激強すぎたよね。あんたはまだ処女だもんねぇ」
「答えて! なんで佳苗がお祖父ちゃんの家に?」
「美夜のお祖父ちゃんの家なんて、昔から行ってるじゃない」
「そんなことが聞きたいんじゃない! 私が聞きたいのは……」
美夜はその先をどうしても言えなかった。口に出せば目撃したものが真実になる気がして、見たものが現実になってしまう気がして、言えなかった。
佳苗は美夜を嘲笑っていた。彼女はブランコを漕ぐ速度を落とし、次第にブランコが動きを止める。
「美夜は孫だからそういう目で見れないだろうけど、おじいちゃんだって男なんだよ。おばあちゃんが死んじゃって、寂しかったんだよね」
お祖父ちゃんが男……そんなこと考えたこともなかった。お祖父ちゃんは“お祖父ちゃん”と言う生き物で、美夜にとっては優しい祖父。