重ねる涙の先で仕合せは紡ぐ。

緑丘公園に着くと、当然誰も居なかった。

こんな雨の中、公園に来る人なんてわたしくらいだろう。

わたしは山に登り、ベンチの側まで来ると、傘を下ろして雨を浴びた。

"体張って、必死に生きてきたんだな。"

巡が言ってくれたその言葉を思い出すと、また涙が溢れてきた。

その涙は、雨と紛れてわたしの頬に流れ落ちる。

よく考えれば、孤児院を出てからまともに人と接したのは、巡が初めてだ。

いや、今まで生きてきて、素直な自分の言葉で話したこと自体が初めてかもしれない。

巡のことを思い出すと、心が温かくなる。
この気持ちは何だろう。

今まで感じたことのない、不思議な気持ち。

すると、「やっぱりここに居た。」と聞き慣れた低い声が聞こえてきた。

ふと声がした方を向くと、山の下に傘をさして立っている巡の姿があった。

巡を大股で山に登って来ると、「傘持ってんのに、何でさしてないんだよ。」と言った。

「雨、、、浴びたくなったから。」

わたしがそう言うと、巡は優しく微笑み、「じゃあ、俺も浴びるかな。」と言い、傘をおろした。

そして、顔を空に向け、目を閉じて雨を浴びていた。

わたしはその姿に驚き、隣で巡を見上げていた。

< 17 / 50 >

この作品をシェア

pagetop